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電験3種過去問【2019年電力 問15】

2022年4月24日

【火力発電】火力発電所のタービン出力と復水器冷却水温度の計算《計算問題》

 復水器の冷却に海水を使用し、運転している汽力発電所がある。このときの復水器冷却水流量は30m3/s、復水器冷却水が持ち去る毎時熱量は3.1×109kJ/h、海水の比熱容量は4.0kJ/(kg・K)、海水の密度は1.1×103kg/m3、タービンの熱消費率は8000kJ/(kW・h)である。
 この運転状態について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし、復水器の冷却水が持ち去る熱以外の損失は無視するものとする。

(a)タービン出力の値[MW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)350
(2)500
(3)700
(4)800
(5)1000

(b)復水器冷却水の温度上昇の値[K]といして、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)3.3
(2)4.7
(3)5.3
(4)6.5
(5)7.9

解答と解説はこちら

解答

(a):(3)
(b):(4)

解説

(a)タービン出力の値Pt[MW]を求める。

題意より、「復水器での損失以外は全て無視」するので、発電機効率をηG=1とすると、発電機出力PG[MW]は

\displaystyle P_G=P_t \times η_G\text{[MW]}\\ =P_t \text{[MW]}\\ =P_t \times10^3\text{[kW]}

タービン熱消費率は、単位発電端電力量[kW・h]当たりにタービンに入力されるエネルギーである。つまり、1時間当たりの発電端電力量PG[kW・h]にタービンに入力されるエネルギーWTi[kJ]は

\displaystyle W_{Ti}=8000\times P_G\\ =8000P_t \times10^3\text{[kJ]}

一方で、題意より、復水器冷却水が持ち去る毎時熱量WTl[kJ]は3.1×109kJ/hであるので、タービン出力Pt[MW]との間には、以下のような関係式が成り立つ。

\displaystyle W_{Ti}-W_{Tl}=P_t \times10^3\times3600\\ ∴8000P_t \times10^3-3.1\times10^9=3600P_t \times10^3\\ ∴4400P_t \times10^3=3.1\times10^9\\ \displaystyle ∴P_t=\frac{3.1\times10^9}{4400\times10^3}\\ =704.5\text{[MW]}

 

(b)復水器冷却水の温度上昇の値θ[K]を求める。

 復水器冷却水流量Qは30m3/s、復水器冷却水が持ち去る毎時熱量Wは3.1×109kJ/h、海水の比熱容量Cは4.0kJ/(kg・K)、海水の密度ρは1.1×103kg/m3であるので、

復水器冷却水が持ち去る毎秒熱量WS

\displaystyle W_S=\frac{3.1\times10^9}{3600}\\ =861\times10^3\text{[kJ/s]}

冷却水が持ち去る毎秒熱量WSは以下のように表される。

\displaystyle W_S=QθρC\\ \displaystyle ∴θ=\frac{W_S}{QρC}\\ \displaystyle=\frac{861\times10^3}{30\times4.0\times1.1\times10^3}\\ =6.5\text{[℃]}