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電験3種過去問【2018年電力 問15】

2022年4月24日

【水力発電】調整池式発電所に関する計算《計算問題》

 調整池の有効貯水量V[m3]、最大使用水量10m3/sであって、発電機1台を有する調整池式発電所がある。
 図のように、河川から調整池に取水する自然流量QNは6m3/sで一日中一定とする。この条件で、最大使用水量QP=10m3/sで6時間運用(ピーク運用)し、それ以外の時間は自然流量より低い一定流量で運用(オフピーク運用)して、一日の自然流量分を全て発電運用に使用するものとする。
 ここで、この発電所の一日に運用中の使用水量を変化させても、水車の有効落差、水車効率、発電機効率は変わらず、それぞれ100m、90%、96%で一定とする。

この条件において、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)このときの運用に最低限必要な有効貯水量V[m3]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 86200
(2) 86400
(3) 86600
(4) 86800
(5) 87000

(b)オフピーク運用中の発電機出力[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 

(1) 2000
(2) 2500
(3) 3000
(4) 3500
(5) 4000

解答と解説はこちら

解答

(a)(2)
(b)(5)

解説

(a)最低限必要な有効貯水量V[m3]は、ピーク運用時に使用する水量VP[m3]からピーク運用時に流れ込む水量VN[m3]を引いたものとなる。ピーク運用時間をtP[h]とすると

\(\displaystyle V=V_P-V_N\)

 \(\displaystyle =Q_P\times 3600t_P-Q_N\times 3600t_P\)

 \(\displaystyle =3600t_P(Q_P-Q_N)\)

 \(\displaystyle =3600\times6(10-6)=86400[m^3]\)

(b)自然流量QNの6m3/sから、オフピーク運用中の使用流量QO[m3/s]を引いた流量の積算は有効貯水量V[m3]となる。オフピーク運用時間は、一日のうちピーク運用している6時間以外であるので、24時間-6時間=18時間となる。つまり、オフピーク運用時間をtO[h]とすると

\(\displaystyle V=Q_N\times 3600t_O-Q_O\times 3600t_O\)

 \(\displaystyle =3600t_O(Q_N-Q_O)\)

 \(\displaystyle =3600\times18(6-Q_O)=86400\) [m3]

\(\displaystyle Q_O=6-\frac{86400}{3600\times18}=4.67\) [m3]

オフピーク運用中の発電機出力P[kW]は、水車の有効落差H[m]、水車効率ηT、発電機効率ηGとすると

\( \displaystyle P=9.8Q_OHη_Tη_G\)

 \( \displaystyle =9.8\times 4.67\times 100\times 0.90\times 0.96\)

 \( \displaystyle =3954≒4000\) [kW]