// google adsence用 電験3種過去問【2016年電力 問15】 | 電気主任技術者のいろは

電験3種過去問【2016年電力 問15】

2022年4月24日

【火力発電】火力発電所のタービン効率と発電機効率の計算《計算問題》

 図は、あるランキンサイクルによる汽力発電所のP-V線図である。この発電所が、A点の比エンタルピー140kJ/kg、B点の比エンタルピー150kJ/kg、C点の比エンタルピー3380kJ/kg、D点の比エンタルピー2560kJ/kg、蒸気タービンの使用蒸気量100t/h、蒸気タービン出力18MWで運転しているとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)タービン効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)58.4
(2)66.8
(3)79.0
(4)95.3
(5)96.7

(b)この発電所の送電端出力16MW、所内比率5%のとき、発電機効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)84.7
(2)88.6
(3)88.9
(4)89.2
(5)93.6

解答と解説はこちら

解答

(a):(3)
(b):(5)

解説

(a)タービン効率の値ηT[%]を求める。

C点の比エンタルピーが蒸気タービンに供給される蒸気のものなので、1時間あたりの蒸気エネルギー供給量WTiv[kJ]は

\(\displaystyle W_{Tiv}=3380\text{[kJ/kg]}\times 100\text{[t/h]}\times1[h]\\
=3380\text{[kJ/kg]}\times 100\times10^3\text{[kg]}\\
=338\times10^6\text{[kJ]}\)

D点の比エンタルピーが蒸気タービンから排出される蒸気のものなので、1時間あたりの蒸気エネルギー排出量WTov[kJ]は

\(\displaystyle W_{Tov}=2560\text{[kJ/kg]}\times 100\text{[t/h]}\times1[h]\\
=2560\text{[kJ/kg]}\times 100\times10^3\text{[kg]}\\
=256\times10^6\text{[kJ]}\)

したがって、1時間当たりタービン入力として供給されるエネルギーWTi[kJ]は

\(\displaystyle W_{Ti}=W_{Tiv}-W_{Tov}\\
=338\times10^6-256\times10^6\\
=82\times10^6\text{[kJ]}\)

一方で、題意より蒸気タービン出力は18MWであるので、1時間当たりのタービン出力エネルギーWTo[kJ]は

\(\displaystyle W_{To}=18\text{[MW・h]}\\
=18\times10^6\text{[W・h]}\\
=18\times10^6\text{[J/s・3600s]}\\
=18\times10^6\times3600\text{[J]}\\
=64800\times10^6\text{[J]}\\
=64.8\times10^6\text{[kJ]}\)

タービン効率ηT[%]は、タービンに供給されるエネルギーWTi[kJ]とタービン出力エネルギーWTo[kJ]の比で表される。

\(\displaystyle η_T=\frac{W_{To}}{W_{Ti}}\times100\\
=\displaystyle \frac{64.8\times10^6}{82\times10^6}\\
=0.79\\
=79\text{[%]}\)

 

(b)この発電所の送電端出力16MW、所内比率5%のとき、発電機効率ηG[%]を求める。

送電端出力PO[MW]は、発電端出力PG[MW]から所内率x[%]を差し引いたものであるので、

\(\displaystyle P_O=P_G\times(1-\frac{x}{100})\)

\(\displaystyle ∴P_G=\frac{P_O}{(1-\frac{x}{100})}\\
=\displaystyle \frac{16}{(1-\frac{5}{100})}\\
=16.84\text{[MW]}\)

発電機効率ηG[%]は、タービン出力PT[MW]に対する発電端出力PG[MW]の比であるので、

\(\displaystyle η_G=\frac{P_{G}}{P_{T}}\times100\\
=\displaystyle \frac{16.84}{18}\times100\\
=93.6\text{[%]}\)