電験2種過去問【2010年電力管理 問1】
2022年11月20日
【発電機】タービン発電機の進相運転《記述問題》
火力発電所のタービン発電機は、一般に遅れ力率で運転されることが多いが、必要に応じて進み力率で運転する「進相運転」を実施する場合もある。進相運転を実施する目的、進相運転時の留意点、その留意点に対する発電所における対策について述べよ。
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解答
火力発電所のタービン発電機は、一般に遅れ力率で運転されることが多いが、必要に応じて進み力率で運転する「進相運転」を実施する場合もある。進相運転を実施する目的、進相運転時の留意点、その留意点に対する発電所における対策について述べよ。
進相運転の目的
電力系統は、超高圧送電線路や地中ケーブル送電線による線路充電容量の増大及び需要家の力率改善用コンデンサの普及などによって、深夜の軽負荷時等には無効電力が余剰となり、系統電圧が上昇する傾向となる。このため、分路リアクトルや同期調相機を設置したり、軽負荷送電線を停止するなどして、無効電力を吸収する対策をとっているが、これらには限界があるため、系統に並列されているタービン発電機を低励磁で進相運転することにより、無効電力を吸収し、系統電圧上昇を抑制することを目的とする。
進相運転時の留意点と対策
(1)留意点
- 系統安定度の低下
タービン発電機内部誘導起電力が低くなることによって、タービン発電機の同期化力が減少し、定態安定度が低下する。 - 発電機固定子鉄心端部の過熱
進相運転時には、発電機固定子鉄心部の漏れ磁束の量が著しく増大し、鉄心端部に大きな過電流が流れ、その部分が過熱する。 - 所内電圧の低下
進相運転による発電機端子電圧低下に伴い、タービン発電機の出力から直接電源の供給を受ける所内補機については、電源電圧が低下する。
(2)対策
- 定態安定度を向上させるためにPSS付きの超即応励磁制御装置(頂上電圧が高く応答の早い高性能励磁装置)を設置する。
- 不足電圧励磁制限装置を使用し、上記留意点が発生しないように励磁電圧の下限値を設定する。
解説
なし
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