Processing math: 100%
// google adsence用 電験2種過去問【2019年理論 問1】 | 電気主任技術者のいろは

電験2種過去問【2019年理論 問1】

2022年7月10日

【電磁気】コンデンサ内の変位電流《空所問題》

 次の文章は、コンデンサ内の変位電流に関する記述である。文中の\fbox{空所欄}に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。なお、電位は無限遠点を基準とする。
 極板の面積がSで、極板間の距離がdである平行平板コンデンサがあり、その極板間は誘電率εの誘電体で満たされている。誘電体に導電性はなく、端効果は無視できるものとする。
 コンデンサにはあらかじめ電荷は蓄えられておらず、時刻t=0において電源を接続して一定の充電電流Iを流し始める。時刻t(>0)における誘電体内の電界の大きさEと電束密度の大きさDはそれぞれ
\fbox{(1)}\fbox{(2)}である。
 ここで、誘電体内部の変位電流を考える。変位電流密度は\displaystyle J=\frac{\partial D}{\partial t}で与えられ、時刻t(>0)における誘電体内の変位電流密度は一様であり、その大きさJは\fbox{(3)}である。このとき、充電電流Iを変位電流密度Jで表すと\fbox{(4)}となる。このことから、次の(A)~(C)のうち、変位電流を考えることで導かれる事実は、\fbox{(5)}である。
 (A)電源からの電流が変位電流として誘電体内を流れる。
 (B)誘電体内で一定のエネルギーが消費される。
 (C)誘電体内にtに比例した自由電荷が蓄えられる。

[問1の解答群]

\small{\begin{array}{ccc} (イ)&\displaystyle\frac{SIt}{\epsilon}&(ロ)&J&(ハ)&(B)\\ (ニ)&SIt&(ホ)&\displaystyle\frac{-I}{St^2}&(ヘ)&SJ\\ (ト)&0&(チ)&\displaystyle\frac{It}{S}&(リ)&(C)\\ (ヌ)&\displaystyle\frac{I}{S}&(ル)&\displaystyle\frac{\epsilon I}{St}&(ヲ)&(A)\\ (ワ)&\displaystyle\frac{It}{\epsilon S}&(カ)&Jt&(ヨ)&\displaystyle\frac{I}{St}\\ \end{array}}

解答と解説はこちら

解答

\small{\begin{array}{cc} \hline(1)&(ワ)&\displaystyle\frac{It}{\epsilon S}\\ \hline(2)&(チ)&\displaystyle\frac{It}{S}\\ \hline(3)&(ヌ)&\displaystyle\frac{I}{S}\\ \hline(4)&(ヘ)&SJ\\ \hline(5)&(ヲ)&(A)\\ \hline\end{array}}

解説

 極板の面積がSで、極板間の距離がdである平行平板コンデンサがあり、その極板間は誘電率εの誘電体で満たされている。誘電体に導電性はなく、端効果は無視できるものとする。
 コンデンサにはあらかじめ電荷は蓄えられておらず、時刻t=0において電源を接続して一定の充電電流Iを流し始める。時刻t(>0)における誘電体内の電界の大きさEと電束密度の大きさDをそれぞれ求める。

コンデンサに蓄えられる電荷QはQ=CV=It

コンデンサの静電容量Cは\displaystyle C=\epsilon\frac{S}{d}

コンデンサ内の電界の大きさEは

\displaystyle E=\frac{V}{d}=\frac{It}{C}\frac{1}{d}

\displaystyle =\frac{It}{\epsilon\frac{S}{d}}\frac{1}{d}

\displaystyle =(ワ)\frac{It}{\epsilon S}

電束密度D=\epsilon Eであるので

\displaystyle D=\epsilon\frac{It}{\epsilon S}

\displaystyle =(チ)\frac{It}{S}

 ここで、誘電体内部の変位電流を考える。変位電流密度は\displaystyle J=\frac{\partial D}{\partial t}で与えられ、時刻t(>0)における誘電体内の変位電流密度は一様であり、その大きさJは

\displaystyle J=\frac{\partial D}{\partial t}

\displaystyle =\frac{\partial}{\partial t}\left(\frac{It}{S}\right)

\displaystyle =(ヌ)\frac{I}{S}

である。このとき、充電電流Iを変位電流密度Jで表すと\fbox{(ヘ)SJ}となる。このことから、次の(A)~(C)のうち、変位電流を考えることで導かれる事実は、\fbox{(ヲ)(A)}である。
 (A)電源からの電流が変位電流として誘電体内を流れる。
 (B)誘電体内で一定のエネルギーが消費される。
 (C)誘電体内にtに比例した自由電荷が蓄えられる。