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電験2種過去問【2020年理論 問1】

2022年6月26日

【電磁気】影像電荷を用いた静電界解析《空所問題》

 次の文章は、影像(鏡像)電荷を用いた静電界解析に関する記述である。文中の\fbox{空所欄}に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。なお、電位は無限遠点を基準とする。
  誘電率\epsilon_0の真空中に半径aの接地された導体球が存在する。図のように、導体球の中心が原点Oとなるようにx軸を定め、x軸上のx=dの点Aに電荷Qの点電荷を置く(ただし、d>aである)。このときの導体球が真空中に作り出す電界を影像電荷によって表現しよう。
 導体球は接地されているので、導体球の表面のあらゆる点で電位が零になるという境界条件を満たす必要がある。そこで、図に示す導体球表面の点Bで境界条件を満たすように、導体球の代わりにその内部のx軸上の点A´に影像電荷Q´を置く。
 まず、点A´のx座標をx=\fbox{(1)}とすると、△AOBと△BOA´が相似となる。辺ABの長さをRとすると、点Aの点電荷が点Bに作り出す電位は\fbox{(2)}となるので、Q´=\fbox{(3)}とすることによって、点Bで境界条件が満たされる。相似条件は導体球表面の任意の点について成立するので、点電荷と影像電荷によって導体球表面のあらゆる点で境界条件を満たすことができ、影像電荷が真空領域に作り出す電界は、導体球が作る電界と一致する。ガウスの法則から、点電荷によって導体球に誘起された電荷の総量は、影像電荷と同じQ´となる。
 さらにx=-dの点に電荷-Qの点電荷を置く場合には、x=\fbox{(4)}の地点に影像電荷を追加することによって、真空中の電界を表現することができる。このとき、二つの点電荷によって導体球に誘起される総電荷は
\fbox{(5)}となる。

[問1の解答群]

\small{\begin{array}{ccc} (イ)&\displaystyle\frac{a^2}{d-a}&(ロ)&\displaystyle\frac{Q}{4\pi\epsilon_0}\frac{1}{R}&(ハ)&\displaystyle\frac{a^2}{d}\\ (ニ)&\displaystyle-\frac{d^2}{a}&(ホ)&\displaystyle-\frac{a^2}{d-a}&(ヘ)&\displaystyle\frac{Q}{4\pi\epsilon_0}\frac{a}{R^2}\\ (ト)&\displaystyle\frac{d^2}{a}&(チ)&\displaystyle\frac{a}{d}Q&(リ)&\displaystyle-\frac{a}{d-a}Q\\ (ヌ)&\displaystyle\frac{2a}{d}Q&(ル)&\displaystyle-\frac{a}{d}Q&(ヲ)&\displaystyle-\frac{2a}{d}Q\\ (ワ)&\displaystyle\frac{Q}{4\pi\epsilon_0}\frac{1}{R^2}&(カ)&0&(ヨ)&\displaystyle-\frac{a^2}{d}\\ \end{array}}

解答と解説はこちら

解答

\small{\begin{array}{cc} \hline(1)&(ハ)&\displaystyle\frac{a^2}{d}\\ \hline(2)&(ロ)&\displaystyle\frac{Q}{4\pi\epsilon_0}\frac{1}{R}\\ \hline(3)&(ル)&\displaystyle-\frac{a}{d}Q\\ \hline(4)&(ヨ)&\displaystyle-\frac{a^2}{d}\\ \hline(5)&(カ)&0\\ \hline\end{array}}

解説

  誘電率\epsilon_0の真空中に半径aの接地された導体球が存在する。図のように、導体球の中心が原点Oとなるようにx軸を定め、x軸上のx=dの点Aに電荷Qの点電荷を置く(ただし、d>aである)。このときの導体球が真空中に作り出す電界を影像電荷によって表現しよう。
 導体球は接地されているので、導体球の表面のあらゆる点で電位が零になるという境界条件を満たす必要がある。そこで、図に示す導体球表面の点Bで境界条件を満たすように、導体球の代わりにその内部のx軸上の点A´に影像電荷Q´を置く。
 まず、点A´のx座標をx=(ハ)\displaystyle\frac{a^2}{d}とすると、△AOBと△BOA´が相似となる。辺ABの長さをRとすると、点Aの点電荷が点Bに作り出す電位は(ロ)\displaystyle\frac{Q}{4\pi\epsilon_0}\frac{1}{R}となる。

△AOBと△BOA´は相似であるので、辺BA´の長さは\displaystyle\frac{a}{d}Rとなり、点A´の点電荷が点Bに作り出す電位は\displaystyle\frac{Q’}{4\pi\epsilon_0}\frac{d}{aR}となる。

点Bの電位は零であるので、

\displaystyle\frac{Q}{4\pi\epsilon_0}\frac{1}{R}+\frac{Q’}{4\pi\epsilon_0}\frac{d}{aR}=0

すなわち、

Q´=(ル)\displaystyle-\frac{a}{d}Qとすることによって、点Bで境界条件が満たされる。相似条件は導体球表面の任意の点について成立するので、点電荷と影像電荷によって導体球表面のあらゆる点で境界条件を満たすことができ、影像電荷が真空領域に作り出す電界は、導体球が作る電界と一致する。ガウスの法則から、点電荷によって導体球に誘起された電荷の総量は、影像電荷と同じQ´となる。

 さらにx=-dの点に電荷-Qの点電荷を置く場合には、x=(ヨ)\displaystyle-\frac{a^2}{d}の地点に影像電荷を追加することによって、真空中の電界を表現することができる。

ここでの影像電荷Q”は同様にして

Q”=\displaystyle\frac{a}{d}Q

このとき、二つの点電荷によって導体球に誘起される総電荷Q_S

Q_S=Q’+Q”=\fbox{(カ)0}となる。