電験３種過去問【2015年機械 問15】

解答

（a）：（4）
（b）：（2）

解説

　巻線形誘導電動機の比例推移に関する問題です。電源電圧とトルクの関係もしっかり理解しておきましょう。

（a）速度を変えるために，この電動機の二次回路の各相に 0.2 Ω の抵抗を直列に挿入し，上記と同様に定格電圧，定格周波数の電源に接続して上記と同じ負荷トルク T_n で運転した。このときの滑りの値 [%] を求める。

　トルク T が一定であれば，すべり s は常に r₂’ [Ω]に比例して推移する（比例推移）。誘導電動機の比例推移より，二次巻線抵抗(二次巻線端子を短絡した抵抗値) r₂’ [Ω]において滑り s であるとき，負荷トルクが一定であれば，二次巻線抵抗 r₂’ [Ω]を k 倍とすれば、滑り s も k 倍となり，次式の関係となる。
　\(\displaystyle \frac{r_2′}{s}=\frac{kr_2′}{ks}\)
　したがって，同じ負荷トルク T_n で運転する場合，の各相に 0.2 Ω の抵抗を接続し，二次巻線回路の 1 相当たりの抵抗値を短絡時の 0.5 Ω に加え， 0.5 + 0.2 = 0.7 Ω にしたときのすべり s_0.7 は
　\(\displaystyle \frac{0.5}{0.05}=\frac{0.7}{s_{0.7}}\)
　\(\displaystyle s_{0.7}=0.7\times\frac{0.05}{0.5}=0.07\)
つまり，抵抗挿入後の滑りの値は 7 % となる。

（b）電動機の二次回路の各相に上記 (a) と同様に 0.2 Ω の抵抗を直列に挿入したままで，電源の周波数を変えずに電圧だけを 200 V に変更したところ，ある負荷トルクで安定に運転した。このときの滑りは上記 (a) と同じであった。
　この安定に運転したときの負荷トルクの値 [N・m] を求める。

　最初に与えられた題意より，二次巻線が短絡され，各相の抵抗値が 0.5 Ω であるとき，定格出力のときの負荷トルクを T_n で運転しているときの滑りは 5 % であった。 まず，このときの T_n [N･m]を求める。

　上記 (a) の状態でも，題意よりトルク T_n =125.6 N･m で変化していない。すべりが一定であれば，出力のトルクは電源電圧の二乗に比例するので，求める負荷トルクの値 T_n’ [N・m] は，