// google adsence用 電験3種過去問【2024年(上期)機械 問15】 | 電気主任技術者のいろは

電験3種過去問【2024年(上期)機械 問15】

2025年7月10日

【誘導機】巻線形誘導電動機の回転速度変化の計算《計算問題》

 定格周波数 60 Hz,6 極の三相巻線形誘導電動機があり,二次巻線を短絡して定格負荷で運転したときの回転速度は 1170min⁻¹ である。この電動機について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし,電動機の二次抵抗値が一定のとき,滑りとトルクは比例関係にあるものとする。

(a)この電動機を定格負荷の80%のトルクで運転する場合,二次巻線が短絡してあるときの滑りの値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\(\small{\begin{array}{cccc} (1)0.015&(2)0.02&(3)0.025&(4)0.03&(5)0.04\\ \end{array}}\)

(b)この電動機を定格負荷の 80 % のトルクで運転する場合,二次巻線端子に三相抵抗器を接続し,二次巻線回路の 1 相当たりの抵抗値を短絡時の 2.5 倍にしたときの回転速度[min⁻¹]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\(\small{\begin{array}{cccc} (1)980&(2)1110&(3)1140&(4)1170&(5)1200\\ \end{array}}\)


「出典:令和6年度上期第三種電気主任技術者試験(機械)」

解答と解説はこちら

解答

(a):(2)
(b):(3)

解説

 巻線形誘導電動機の比例推移に関する問題です。しっかり理解しておきましょう。

(a)この電動機を定格負荷の80%のトルクで運転する場合,二次巻線が短絡してあるときの滑りの値を求める。

題意より,定格負荷 Pr で運転したときの滑り sr は,回転速度 nr は 1170min⁻¹ であるので,

\(n_r=\displaystyle\frac{120f}{p}(1-s_r)\\ \ \ \ ∴1170=\displaystyle\frac{120\times60}{6}(1-s_r)\\ \ \ \ ∴s_r=0.025\\ \)

電動機の二次抵抗値が一定のとき,滑りとトルクは比例関係にあるので,定格負荷80%のトルク P0.8r で運転する場合の滑り s0.8r

\(\displaystyle\frac{P_{0.8r}}{s_{0.8r}}=\frac{P_{r}}{s_r}\\ \ \ \ ∴\displaystyle\frac{0.8}{s_{0.8r}}=\frac{1}{0.025}\\ \ \ \ ∴s_{0.8r}=0.02\\ \)

(b)この電動機を定格負荷の 80 % のトルクで運転する場合,二次巻線端子に三相抵抗器を接続し,二次巻線回路の 1 相当たりの抵抗値を短絡時の 2.5 倍にしたときの回転速度[min⁻¹]の値を求める。

 トルク T が一定であれば,すべり s は常に r₂’ [Ω]に比例して推移する(比例推移)。誘導電動機の比例推移より,二次巻線抵抗(二次巻線端子を短絡した抵抗値) r₂’ [Ω]において滑り s であるとき,負荷トルクが一定であれば,二次巻線抵抗 r₂’ [Ω]を k 倍とすれば、滑り sk 倍となり,次式の関係となる。
 \(\displaystyle \frac{r_2′}{s}=\frac{kr_2′}{ks}\)
 したがって,定格負荷の 80 % のトルクで運転する場合,二次巻線端子に三相抵抗器を接続し,二次巻線回路の 1 相当たりの抵抗値を短絡時の 2.5 倍にしたときのすべり s2.5
 \(s_{2.5}=2.5s_{0.8r}=0.05\)
このときの回転速度は,

\(n_{2.5}=\displaystyle\frac{120f}{p}(1-s_{2.5})\\ \ \ \ =1140[min^{-1}]\\ \)


追加学習は誘導電動機の学習帳

<<前問  次問>>