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電験3種過去問【2021年理論 問9】

2022年4月24日

【電気回路】RLC共振回路の動作《正誤問題》

 実効値V[V]、角周波数ω[rad/s]の交流電圧源、R[Ω]の抵抗R、インダクタンスL[H]のコイルL、静電容量C[F]のコンデンサCからなる共振回路に関する記述として、正しいものと誤りのものの組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. RLC直列回路の共振状態において、LとCの端子間電圧の大きさはともに0である。
  2. RLC並列回路の共振状態において、LとCに電流は流れない。
  3. RLC直列回路の共振状態において交流電圧源を流れる電流は、RLC並列回路の共振状態において交流電圧源を流れる電流と等しい。
  (a) (b) (c)
(1) 誤り 誤り 正しい
(2) 誤り 正しい 誤り
(3) 正しい 誤り 誤り
(4) 誤り 誤り 誤り
(5) 正しい 正しい 正しい

解答と解説はこちら

解答

(1)

解説

RLC直列回路及びRLC並列回路の共振条件は、LによるインピーダンスZL[Ω]とCによるインピーダンスZC[Ω]が等しいことである。つまり、

 \(\displaystyle Z_L=Z_C\)

すなわち、

 \(\displaystyle ωL=\frac{1}{ωC}\)

\(\displaystyle ω=\frac{1}{\sqrt{LC}}\)

\(\displaystyle 2\pi f=\frac{1}{\sqrt{LC}}\)

\(\displaystyle f=\frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}\)

回路の電源周波数\(\displaystyle f=\frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}\)が成り立つとき、RLC回路は共振状態となる。

(a)上図のRLC直列回路では、回路に流れる電流\(\displaystyle \dot{I}\)を基準に考えると、

抵抗に掛かる電圧\(\displaystyle \dot{V_R}\)は、\(\displaystyle \dot{I}\)と同位相となる。

インダクタンスに掛かる電圧\(\displaystyle \dot{V_L}\)は、\(\displaystyle \dot{I}\)に対して90°進み位相となる。

コンデンサに掛かる電圧\(\displaystyle \dot{V_C}\)は、\(\displaystyle \dot{I}\)に対して90°遅れ位相となる。

ここで、\(\displaystyle \dot{V_L}\)の大きさは、

\(\displaystyle V_L=Z_L I\)

また、\(\displaystyle \dot{V_C}\)の大きさは、

\(\displaystyle V_C=Z_C I\)

 共振条件より、\(\displaystyle Z_L=Z_C\)であるので、

\(\displaystyle V_L=V_C\)

電源電圧\(\displaystyle \dot{V}\)は、各RLCに印加される電圧のベクトル和となるので

\(\displaystyle \dot{V}=\dot{V_R}+\dot{V_L}+\dot{V_C}=\dot{V_R}\)

(\(\displaystyle \dot{V_L}\)と\(\displaystyle \dot{V_C}\)は逆向きで同じ大きさなので打ち消しあう)

電流Iの大きさは、

\(\displaystyle I=\frac{V_R}{R}=\frac{V}{R}\text{[A]}\)

以上より

LとCのそれぞれの端子間電圧は、

\(\displaystyle V_L=Z_L I\)と\(\displaystyle V_C=Z_C I\)が生じていて、ともに0ではない。

LとCの端子間電圧を一括して測定すると、

\(\displaystyle \dot{V_L}+\dot{V_C}=0\)となる。

(b)上図のRLC並列回路では、回路にかかる電圧\(\displaystyle \dot{V}\)を基準に考えると、

抵抗に流れる電流\(\displaystyle \dot{I_R}\)は、\(\displaystyle \dot{V}\)と同位相となる。

インダクタンスに流れる電流\(\displaystyle \dot{I_L}\)は、\(\displaystyle \dot{V}\)に対して90°遅れ位相となる。

コンデンサに流れる電流\(\displaystyle \dot{I_C}\)は、\(\displaystyle \dot{V}\)に対して90°進み位相となる。

ここで、\(\displaystyle \dot{I_L}\)の大きさは、

\(\displaystyle I_L=\frac{V}{Z_L}\)

また、\(\displaystyle \dot{I_C}\)の大きさは、

\(\displaystyle I_C=\frac{V}{Z_C}\)

 共振条件より、\(\displaystyle Z_L=Z_C\)であるので、

\(\displaystyle I_L=I_C\)

電源電流\(\displaystyle \dot{I}\)は、各RLCに流れる電流のベクトル和となるので

\(\displaystyle \dot{I}=\dot{I_R}+\dot{I_L}+\dot{I_C}=\dot{I_R}\)

(\(\displaystyle \dot{I_L}\)と\(\displaystyle \dot{I_C}\)は逆向きで同じ大きさなので打ち消しあう)

電流Iの大きさは、

\(\displaystyle I=I_R=\frac{V}{R}\text{[A]}\)

以上より

LとCのそれぞれには、

\(\displaystyle I_L=\frac{V}{Z_L}\)と\(\displaystyle I_C=\frac{V}{Z_C}\)の電流が流れる

LとCに流れる電流を合わせて測定すると、

\(\displaystyle \dot{I_L}+\dot{I_C}=0\)となる。

 

(c)上記解説(a)及び(b)より、直列RLC共振回路と並列RLC共振回路の電源に流れる電流Iは、ともに

\(\displaystyle I=\frac{V}{R}\text{[A]}\)

となり、等しい