// google adsence用 電験3種過去問【2022年(上期)電力 問17】 | 電気主任技術者のいろは

電験3種過去問【2022年(上期)電力 問17】

2024年1月16日

【配電】線路損失と供給負荷電力の計算《計算問題》

 三相3線式1回線の専用配電線がある。変電所の送り出し電圧が6600V、末端にある負荷の端子電圧が6450V、力率が遅れの70%であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし、電線1線当たりの抵抗は0.45Ω/km、リアクタンスは0.35Ω/km、線路のこう長は5kmとする。

(a)この負荷に供給される電力\(P_1\)の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\(\small{\begin{array}{cccc} &(1) 180 &(2) 200 &(3) 220 &(4) 240 &(5) 260 \\ \end{array}}\)

(b)負荷が遅れ力率80%、\(P_2\)[kW]に変化したが線路損失は変わらなかった。\(P_2\)の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\(\small{\begin{array}{cccc} &(1) 254 &(2) 274 &(3) 294 &(4) 314 &(5) 334 \\ \end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

(a):(4)が正しい
(b):(2)が正しい

解説

 三相3線式1回線の専用配電線がある。変電所の送り出し電圧が6600V、末端にある負荷の端子電圧が6450V、力率が遅れの70%である。
 ただし、電線1線当たりの抵抗は0.45Ω/km、リアクタンスは0.35Ω/km、線路のこう長は5kmとする。

(a)この負荷に供給される電力\(P_1\)の値[kW]を求める。

 電線1線当たりの抵抗をRΩ、リアクタンスをXΩ、力率をcosθ、負荷電流をIとすると、電線1線当たりの電圧降下\(V_l\)は

\(\displaystyle V_l=IR\cos\theta+IX\sin\theta\)[V]

\(\displaystyle =2.25I\times0.7+1.75I\times\sqrt{1^2-0.7^2}\)
 \(\displaystyle =\frac{6600}{\sqrt3}-\frac{6450}{\sqrt3}\)
 \(\displaystyle =86.6\)[V]
\(\displaystyle ∴1.575I+1.25I=86.6\)
\(\displaystyle ∴I=30.66\)[A]

負荷の端子電圧は6450V、力率は遅れ0.7であるので、

\(\displaystyle P_1=\sqrt3VI\cos\theta\)
 \(\displaystyle =\sqrt3\times6450\times47.45\times0.7\)
 \(\displaystyle =239727\)[W]

 したがって、\(P_1\)の値は240[kW]となる。

(b)負荷が遅れ力率80%、\(P_2\)[kW]に変化したが線路損失は変わらなかった。\(P_2\)の値[kW]を求める。

 線路損失は変わらないので、流れる電流は変化していない。したがって負荷電流は

\(I_2=30.66\)[A]

 負荷電流を\(I_2\)、電線1線当たりの電圧降下を\(V_{l2}\)とすると、

\(\displaystyle V_{l2}=I_2R\cos\theta’+I_2X\sin\theta’\)[V]

\(\displaystyle =2.25\times30.66\times0.8+1.75\times30.66\times\sqrt{1^2-0.8^2}\)

\(\displaystyle =87.381\)[V]

電線1線当たりの電圧降下を相間電圧に換算すると、その端子電圧\(V_{2}\)は

負荷電圧\(V_{2}=6600-\sqrt3V_{l2}=6449\)[V]

前問より、線路損失\(P_l=3 V_l I\cos\theta=3\times 86.6\times30.66\times 0.7=5575.8\)[W]

負荷電力\(P_2\)は

\(\displaystyle P_2=\sqrt3 V_2I_2\cos\theta=\sqrt3\times6449\times30.66\times0.8=273978\)[W]

 したがって、\(P_2\)の値は274[kW]となる。

<<前問  次問>>