解答
(a):(4)が最も近い。
(b):(1)が最も近い。
解説
電圧降下等価抵抗の式を用いた問題です。電力科目の最終問題にふさわしいような内容の濃い問題です。このような問題を完答できるように学習しておけば、合格の日は近いでしょう。
(a) この配電線路での抵抗による電力損失の値 [W] を求める。
受電端電圧 6.6 kV 、遅れ力率 0.8 、三相平衡負荷 60 kW が接続されている。このときの配電線路に流れる電流 I は、
\(I=\frac{60\times10^3}{\sqrt3\times6.6\times10^3\times0.8}\)
\(=6.56\)[A]
配電線路での抵抗による電力損失は、
\(3\times6.56^2\times(2.5\times0.5)\)
\(=161.376\)[W]
(b) 受電端の電圧降下率を 2.0 % 以内にする場合、受電端でさらに増設できる負荷電力(最大)の値 [kW] を求める。
題意の近似式として電圧降下等価抵抗 Z を用いる。
\(\displaystyle Z=r\cos\theta+x\sin\theta\) [Ω]
ここで、r は 1 線当たりの抵抗、x は 1 線当たりのリアクタンス、cosθ は負荷力率となる。
負荷力率は一定なので cosθ=0.8 、したがって sinθ=0.6 である。ここで電圧降下等価抵抗 Z は、
\(\displaystyle Z=2.5\times0.5\times0.8+2.5\times0.2\times0.6\)
\(=1.3\)[Ω]
ここで、送電端電圧と受電端電圧の位相角は十分小さいので、配電線路に流れる電流を I とすると、は配電線路の電圧降下は
\(\displaystyle V_l=IZ\)
\(=1.3I\)[V] ‥‥➀
受電端電圧は 6.6 kV 一定なので、受電端の電圧降下率が 2.0 % となる電圧を求める。
\(\displaystyle V_l=\frac{6.6\times10^3}{\sqrt3}\times\frac{2}{100}\)
\(=76.2\)[V] ‥‥②
ここでは、相電圧を考えており、②式は、受電端の電圧降下率が 2.0 % となる配電線路 1 線の電圧降下である。
式➀②より、受電端の電圧降下率が 2.0 % となるときの負荷電流 I は、
\(\displaystyle 1.3I=76.2\)
∴\(\displaystyle I=58.6\)[A]
このときの負荷電力は、
\(\sqrt3\times6.6\times10^3\times58.6\times0.8\)
\(=535,910\)[W]
求めるのは、受電端の電圧降下率が 2.0 % となるときに増設できる負荷電力であるので、増設前の 60kW 負荷との差は
\(535,910-60,000\)
\(=475,910\)[W]
となる。
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