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電験3種過去問【2019年電力 問17】

2025年5月19日

【配電】配電線路の損失と電圧降下率を維持する負荷電力計算《計算問題》

 三相 3 線式配線路の受電端に遅れ力率 0.8 の三相平衡負荷 60 kW (一定) が接続されている。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし、三相負荷の受電端電圧は 6.6 kV 一定とし、配電線路のこう長は 2.5 km、電線 1 線当たりの抵抗は 0.5 Ω/km、リアクタンスは 0.2 Ω/km とする。なお、送電端電圧と受電端電圧の位相角は十分小さいものとして得られる近似式を用いて解答すること。また、配電線路こう長が短いことから、静電容量は無視できるものとする。

(a) この配電線路での抵抗による電力損失の値 [W] として,最も近いものを次の (1) ~ (5) のうちから一つ選べ。

(1)22
(2)54
(3)65
(4)161
(5)220

(b) 受電端の電圧降下率を 2.0 % 以内にする場合、受電端でさらに増設できる負荷電力(最大)の値 [kW] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、負荷の力率(遅れ)は変わらないものとする。

(1)476
(2)536
(3)546
(4)1280
(5)1340


「出典:令和元年度第三種電気主任技術者試験(電力)」

解答と解説はこちら

解答

(a):(4)が最も近い。
(b):(1)が最も近い。

解説

 電圧降下等価抵抗の式を用いた問題です。電力科目の最終問題にふさわしいような内容の濃い問題です。このような問題を完答できるように学習しておけば、合格の日は近いでしょう。

(a) この配電線路での抵抗による電力損失の値 [W] を求める。

 受電端電圧 6.6 kV 、遅れ力率 0.8 、三相平衡負荷 60 kW が接続されている。このときの配電線路に流れる電流 I は、
 \(I=\frac{60\times10^3}{\sqrt3\times6.6\times10^3\times0.8}\)
  \(=6.56\)[A]
 配電線路での抵抗による電力損失は、
 \(3\times6.56^2\times(2.5\times0.5)\)
  \(=161.376\)[W]

(b) 受電端の電圧降下率を 2.0 % 以内にする場合、受電端でさらに増設できる負荷電力(最大)の値 [kW] を求める。

 題意の近似式として電圧降下等価抵抗 Z を用いる。
 \(\displaystyle Z=r\cos\theta+x\sin\theta\) [Ω]
 ここで、r は 1 線当たりの抵抗、x は 1 線当たりのリアクタンス、cosθ は負荷力率となる。

 負荷力率は一定なので cosθ=0.8 、したがって sinθ=0.6 である。ここで電圧降下等価抵抗 Z は、
 \(\displaystyle Z=2.5\times0.5\times0.8+2.5\times0.2\times0.6\)
  \(=1.3\)[Ω]
ここで、送電端電圧と受電端電圧の位相角は十分小さいので、配電線路に流れる電流を I とすると、は配電線路の電圧降下は
 \(\displaystyle V_l=IZ\)
  \(=1.3I\)[V] ‥‥➀

受電端電圧は 6.6 kV 一定なので、受電端の電圧降下率が 2.0 % となる電圧を求める。
 \(\displaystyle V_l=\frac{6.6\times10^3}{\sqrt3}\times\frac{2}{100}\)
  \(=76.2\)[V] ‥‥②
ここでは、相電圧を考えており、②式は、受電端の電圧降下率が 2.0 % となる配電線路 1 線の電圧降下である。

式➀②より、受電端の電圧降下率が 2.0 % となるときの負荷電流 I は、
 \(\displaystyle 1.3I=76.2\)
 ∴\(\displaystyle I=58.6\)[A]
このときの負荷電力は、
 \(\sqrt3\times6.6\times10^3\times58.6\times0.8\)
  \(=535,910\)[W]

求めるのは、受電端の電圧降下率が 2.0 % となるときに増設できる負荷電力であるので、増設前の 60kW 負荷との差は
 \(535,910-60,000\)
  \(=475,910\)[W]
となる。

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