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電験2種過去問【2022年機械 問8】

2022年12月15日

【電熱】誘電加熱に関する記述《空所問題》

 次の文章は、誘導加熱に関する記述である。文中の\fbox{空所欄}に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
 誘電加熱は、被加熱物である誘電体を交番電界中に置くことによって誘電体自身が発熱する現象を利用した加熱法である。この発熱は誘電体損と呼ばれている。誘電体に電界が印加されると、誘電体内に\fbox{(1)}を生じる。交番電界の場合には、電界の交番に伴って、\fbox{(1)}の方向も変化する。交番電界の周波数を上げていくと、交番電界の時間変化に\fbox{(1)}が追いつかなくなり、遅れが生じ始める。この遅れによって誘電体損が生じ、その熱によって誘電体自身の温度が上昇する。
 誘電体の電気的等価回路は抵抗Rと静電容量Cの並列回路で表される。R及びCを流れる電流をそれぞれI_RI_Cとすると\tan\delta=\fbox{(2)}と表され、\tan\deltaは誘電正接と呼ばれる。また、誘電体の比誘電率を\epsilon_r\tan\deltaは誘電体の損失係数と呼ばれ、誘電加熱の容易さを判断する目安となる。
 誘電損失係数の大きさは印加する交番電界の周波数に大きく依存する。実際の誘電加熱では、放送などの無線業務の障害となるのを避けるため、使用可能な周波数帯が\fbox{(3)}周波数帯として定められている。この周波数帯においては、誘電体損を生じる\fbox{(1)}は誘電体を構成する荷電体のうち\fbox{(4)}によるものである。
 また、一般に、被加熱物である誘電体は温度上昇によってインピーダンスが変化するので、誘電加熱装置から被加熱物に電力を効率よく供給するために、高周波発振回路と被加熱物の間に\fbox{(5)}が挿入されている。

[問8の解答群]

\small{\begin{array}{ccc} (イ)&近接効果&(ロ)&イオン&(ハ)&移相回路\\ (ニ)&ISM&(ホ)&誘電分極&(ヘ)&EMS\\ (ト)&電子&(チ)&整合回路&(リ)&渦電流\\ (ヌ)&\frac{I_C}{I_R}&(ル)&\frac{I_R}{\sqrt{I_R^2+I_C^2}}&(ヲ)&\frac{I_R}{I_C}\\ (ワ)&EMC&(カ)&緩衝回路&(ヨ)&電気双極子\\ \end{array}}

解答と解説はこちら

解答

\small{\begin{array}{cc} \hline(1)&(ホ)&誘電分極 \\ \hline(2)&(ヲ)&\frac{I_R}{I_C}    \\ \hline(3)&(ニ)&ISM   \\ \hline(4)&(ヨ)&電気双極子\\ \hline(5)&(チ)&整合回路 \\ \hline\end{array}}

解説

 誘電加熱は、被加熱物である誘電体を交番電界中に置くことによって誘電体自身が発熱する現象を利用した加熱法である。この発熱は誘電体損と呼ばれている。誘電体に電界が印加されると、誘電体内に\fbox{(ホ)誘電分極}を生じる。交番電界の場合には、電界の交番に伴って、\fbox{(ホ)誘電分極}の方向も変化する。交番電界の周波数を上げていくと、交番電界の時間変化に\fbox{(ホ)誘電分極}が追いつかなくなり、遅れが生じ始める。この遅れによって誘電体損が生じ、その熱によって誘電体自身の温度が上昇する。
 誘電体の電気的等価回路は抵抗Rと静電容量Cの並列回路で表される。R及びCを流れる電流をそれぞれI_RI_Cとすると\tan\delta=(ヲ)\frac{I_R}{I_C}と表され、\tan\deltaは誘電正接と呼ばれる。また、誘電体の比誘電率を\epsilon_r\tan\deltaは誘電体の損失係数と呼ばれ、誘電加熱の容易さを判断する目安となる。
 誘電損失係数の大きさは印加する交番電界の周波数に大きく依存する。実際の誘電加熱では、放送などの無線業務の障害となるのを避けるため、使用可能な周波数帯が\fbox{(ニ)ISM}周波数帯として定められている。この周波数帯においては、誘電体損を生じる\fbox{(ホ)誘電分極}は誘電体を構成する荷電体のうち\fbox{(ヨ)電気双極子}によるものである。
 また、一般に、被加熱物である誘電体は温度上昇によってインピーダンスが変化するので、誘電加熱装置から被加熱物に電力を効率よく供給するために、高周波発振回路と被加熱物の間に\fbox{(チ)整合回路}が挿入されている。