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電験3種過去問【2022年(上期)機械 問15】

2024年1月16日

【自動制御】フィードバック制御の一巡伝達関数とベクトル軌跡《計算問題》

 図は、出力信号 y を入力信号 x に一致させるように動作するフィードバック制御系のブロック線図である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 図において、K = 5 、T = 0.1 として、入力信号からフィードバック信号までの一巡伝達関数(閉ループ伝達関数)を表す式を計算し、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\(\displaystyle (1) \frac{5}{1-j\omega 0.1}\) \(\displaystyle (2) \frac{5}{1+j\omega 0.1}\) \(\displaystyle (3) \frac{1}{6+j\omega 0.1}\) \(\displaystyle (4) \frac{5}{6-j\omega 0.1}\) \(\displaystyle (5) \frac{5}{6+j\omega 0.1}\)

(b) (a)で求めた一巡伝達関数において、 ω を変化させることで得られるベクトル軌跡はどのような曲線を描くか、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

解答と解説はこちら

解答

(a):(2)が正しい。
(b):(3)が正しい。

解説

ブロック線図の等価変換

直列接続

等価伝達関数 G(s)=G1(s)G2(s)

フィードバック結合

等価伝達関数\(\displaystyle G(s)=\frac{G_1(s)}{1∓G_1(s)G_2(s)}\)

一巡伝達関数(開ループ伝達関数)

ブロック線図のループの一部を切り開いたときに、一巡する伝達関数を一巡伝達関数という。
下図の場合、一巡伝達関数は G(jω)H(jω) となる。

ベクトル軌跡

ベクトル軌跡とは角周波数ωの変化に対する周波数伝達関数 G(jω) の変化を複素平面上のベクトルとして表したもの。

(a) 制御対象部分の、ブロック線図を等価変換した G(jω) は、
\(\displaystyle G(j\omega)=\frac{\frac{1}{j\omega T}}{1+\frac{1}{j\omega T}}\)
\(\displaystyle  =\frac{1}{j\omega T+1}\)
従って、一巡伝達関数は、
\(\displaystyle KG(j\omega)=\frac{K}{j\omega T+1}\)
K = 5 、T = 0.1 を代入すると、
\(\displaystyle KG(j\omega)=\frac{5}{1+j\omega 0.1}\)

(b) (a)で求めた一巡伝達関数\(\displaystyle KG(j\omega)=\frac{5}{1+j\omega 0.1}\)に対する複素平面上の点を考える。
ω=0のとき
\(\displaystyle KG(j0)=\frac{5}{1+0}=5\)
となる。このベクトルは実軸上の 5 の点を表すので、解答候補(1)(3)のみが当てはまる。
次に、ω=10 rad/s のとき
\(\displaystyle KG(j10)=\frac{5}{1+j}\)
\(\displaystyle  =\frac{5(1-j)}{(1+j)(1-j)}\)
\(\displaystyle  =\frac{5(1-j)}{1^2+j^2}\)
\(\displaystyle  =2.5(1-j)\)
\(\displaystyle  =2.5-j2.5\)
となる。このベクトルは複素平面上の(実軸2.5 , 虚軸-2.5)の点を表す。

従って、(4)のベクトル軌跡が最も近い。

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