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電験3種過去問【2024年(下期)電力 問17】

2025年5月16日

【送電】π形等価回路によるフェランチ効果の計算《計算問題》

 送電線のフェランチ現象に関する問である。三相 3 線式 1 回線送電線の一相が図の π 形等価回路で表され,送電線路のインピーダンス jX=j200Ω,アドミタンス jB=j0.800 mS とし,送電端の線間電圧が66.0 kVあり,受電端が無負荷のとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 受電端の線間電圧の値[kV]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)66.0
(2)71.7
(3)78.6
(4)114
(5)132

(b) 1線当たりの送電端電流の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)15.2
(2)16.6
(3)28.7
(4)31.8
(5)55.1


「出典:令和6年度下期第三種電気主任技術者試験(電力)」

解答と解説はこちら

解答

(a):(2)が最も近い。
(b):(4)が最も近い。

解説

 複素数によるベクトル計算を用いながら、計算をしていく必要があります。電験3種過去問【2019年電力 問16】に全く同じ出題があり、重要な計算手法ですのでしっかり理解しましょう。正答できる方は、是非ベクトル図も書いてみましょう。

(a) 受電端の線間電圧の値 Vr [kV]を求める。

 送電端電圧 Vs (相電圧)を基準とすると、送電線路のインピーダンス jX と受電端側のアドミタンス j\(\frac{B}{2}\)に流れる電流 Ir は、
 \(\dot{I}_{r}=\frac{\dot{V_{s}}}{jX+\frac{1}{j\frac{B}{2}}}\)
  \(=\frac{\frac{66\times10^3}{\sqrt3}}{j200+\frac{1}{j\frac{0.8\times10^{-3}}{2}}}\)
  \(=\frac{\frac{66\times10^3}{\sqrt3}}{j200-j2500}\)
  \(=j16.567\)[A]
 電流 Ir による受電端の電圧 Vr (相電圧)は、
 \(\dot{V}_{r}=\dot{I}_r\times\frac{1}{j\frac{B}{2}}\)
  \(=j16.567\times (-j2500)\)
  \(=41417.5\)[V]
  \(=41.4\)[kV]
したがって、受電端の線間電圧は
 \(\sqrt3 V_{r}=71.7\)[kV]

(b) 1線当たりの送電端電流の値[A]を求める。
 送電端電圧 Vs (相電圧)を基準とすると、送電端側のアドミタンス j\(\frac{B}{2}\)に流れる電流 Is は、
 \(\dot{I}_{s}=\frac{\dot{V_{s}}}{\frac{1}{j\frac{B}{2}}}\)
  \(=\frac{\frac{66\times10^3}{\sqrt3}}{\frac{1}{j\frac{0.8\times10^{-3}}{2}}}\)
  \(=\frac{\frac{66\times10^3}{\sqrt3}}{-j2500}\)
  \(=j15.24\)[A]
したがって、送電端電流は
 \(\dot{I}_s +\dot{I}_r\)
  \(=j31.8\)[A]

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