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電験3種過去問【2021年法規 問12】

2022年4月24日

【電気施設管理】高圧ケーブルの絶縁耐力試験《計算問題》

 「電気設備技術基準の解釈」に基づいて、使用電圧6600V、周波数50Hzの電路に使用する高圧ケーブルの絶縁耐力試験を実施する。次の (a) 及び (b) の問に答えよ。

(a)高圧ケーブルの絶縁耐力試験を行う場合の記述として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)直流10350Vの試験電圧を電路と大地との間に1分間加える。
(2)直流10350Vの試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加える。
(3)直流20700Vの試験電圧を電路と大地との間に1分間加える。
(4)直流20700Vの試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加える。
(5)高圧ケーブルの絶縁耐力試験を直流で行うことは認められていない。

(b)高圧ケーブルの絶縁耐力試験を、図のような試験回路で行う。ただし、高圧ケーブルは3線一括で試験電圧を印加するものとし、各試験機器の損失は無視する。また、被試験体の高圧ケーブルと試験用変圧器の仕様は次のとおりとする。
【高圧ケーブルの仕様】
 ケーブルの種類:6600Vトリプレックス形架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVT)
 公称断面積:100mm2, ケーブルのこう長:220m
 1線の対地静電容量:0.45μF/km
【試験用変圧器の仕様】
 定格入力電圧:AC 0-120V, 定格出力電圧:AC 0-12000V
 入力電源周波数:50Hz

 この絶縁耐力試験に必要な皮相電力の値[kV・A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)4
(2)6
(3)9
(4)10
(5)17

解答と解説はこちら

解答

(a):(4)
(b):(4)

解説

(a)高圧ケーブルの絶縁耐力試験は
【電気設備技術基準の解釈第15条(高圧又は特別高圧の電路の絶縁性能)】
に規定されている。

使用電圧6600Vの場合、最大使用電圧(使用電圧が1,000Vを超え500,000V未満の最大使用電圧は、使用電圧に\(\frac{1.15}{1.1}\)を乗ずる)は

\(\displaystyle 6600\times \frac{1.15}{1.1}=6900\)[V]である。

最大使用電圧が7000V以下の交流電路では、

「最大使用電圧の1.5倍の交流電圧(6900×1.5=10350[V])を連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること」

「上記交流電圧の2倍の直流電圧(10350×2=20700[V])を連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること」

とあるので(4)が正しい。

(1)直流10350Vの試験電圧を電路と大地との間に1分間加える。
(2)(誤)直流⇒(正)交流10350Vの試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加える。
(3)直流20700Vの試験電圧を電路と大地との間に1分間加える。
(4)直流20700Vの試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加える。(正しい)
(5)高圧ケーブルの絶縁耐力試験を直流で行うことは認められていない。

(b)高圧ケーブルの絶縁耐力試験は、下図のような試験回路となる。C[F]は1線あたりの対地静電容量である。

1線あたりの対地静電容量C[F]は、ケーブル長が220[m]であるので

\(\displaystyle C=0.45\times0.22=0.099\)[μF]

3線一括で試験を行うとき、1線あたりの対地静電容量C[F]が3並列されている。このときの合成静電容量は3C[F]である。

合成静電容量3C[F]のリアクタンスXC[Ω]は

\(\displaystyle X_C=\frac{1}{\omega (3C)}=\frac{1}{2\pi\times50\times3\times 0.099\times10^{-6} }=10717\)[Ω]

試験電圧V=10350Vを印加したとき、流れる電流I[A]は

\(\displaystyle I=\frac{V}{X_C}=\frac{10350}{10717}=0.966\)[A]

試験電圧印加時の皮相電力S[VA]は

\(\displaystyle S=VI=10350\times 0.966=9998\)[VA]

よって、この絶縁耐力試験に必要な皮相電力の値は10[kVA]となる。