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電験2種過去問【2016年電力管理 問5】

2022年8月30日

【電気設備技術基準】歩幅電圧と接触電圧《記述問題》

 変電所の接地に関して、次の問に答えよ。
(1)変電所の接地設計においては、人体にかかる歩幅電圧及び接触電圧を考慮する必要がある。歩幅電圧及び接触電圧について、それぞれ簡潔に説明せよ。
(2)次の条件における、歩幅電圧及び接触電圧の許容値をそれぞれ求めよ。なお、手の接触抵抗は無視することとする。
(計算条件)
 人体に対する電流の許容値:\(I_K=\frac{0.116}{\sqrt{t}}\)[A] 
 片足あたりの大地との抵抗:\(R_F\)=400Ω
 人体の抵抗:\(R_K\)=1000Ω
 事故電流の継続時間:t=1s
(3)歩幅電圧又は接触電圧が許容値を超えてしまう場合、対策として、取り扱われる機器の周囲の地表の砂利層を厚くすることがある。なぜ効果があるのか簡潔に説明せよ。

解答と解説はこちら

解答

(1)変電所の接地設計においては、人体にかかる歩幅電圧及び接触電圧を考慮する必要がある。歩幅電圧及び接触電圧について、それぞれ簡潔に説明せよ。

 歩幅電圧:
 接地極に大電流(事故電流)が流れるとき、大地の電位の傾きにより地表面の2点間に電位差が生じる。これにより人体の両足間に加わる電圧をいう。

 接触電圧:
 地極に大電流(事故電流)が流れるとき、大地の電位の傾きにより、接地した物体とその物体と少し離れた地表面との間に電位差が生じ、接地した物体に人体が接触した場合に人体に加わる電圧をいう。

(2)次の条件における、歩幅電圧及び接触電圧の許容値をそれぞれ求めよ。なお、手の接触抵抗は無視することとする。
(計算条件)
 人体に対する電流の許容値:\(I_K=\frac{0.116}{\sqrt{t}}\)[A] 
 片足あたりの大地との抵抗:\(R_F\)=400Ω
 人体の抵抗:\(R_K\)=1000Ω
 事故電流の継続時間:t=1s

 歩幅電圧の許容値:
 \((R_K+2R_F)\times I_K=208.8\)→209[V] 

 接触電圧の許容値:
 \((R_K+\frac{R_F}{2})\times I_K=139.2\)→139[V] 

(3)歩幅電圧又は接触電圧が許容値を超えてしまう場合、対策として、取り扱われる機器の周囲の地表の砂利層を厚くすることがある。なぜ効果があるのか簡潔に説明せよ。

 足の大地との抵抗を大きくすることができるため、歩幅電圧と接触電圧の許容値を大きくすることができる。

解説

「電気設備技術基準の解釈の解説」で解説されている。(C.F. Dalaziel博士により、人間が耐え得
る衝撃電流の値として示されたもの。)